VALEURスタッフから店舗や商品についての話を聞き出す「STAFF INTERVIEW」。
3回目となる今回は、VALEUR表参道のスタッフ石川さんに話を伺いました。

 

―ではまず…VALEURではカルティエを豊富に取り扱っていますが、カルティエの魅力を教えてください。

Ishikawa
はい、一言で表すなら「美」です。美しさの追求、それを具現化したデザインは本当に素晴らしいと思います。時計に対するアプローチがいわゆる時計ブランドとは全く異なり、宝飾商、ジュエラーとしての矜持を感じます。
カルティエにとってはじまりの時計ともいえる「サントス」の出自からもわかるように、腕時計とは本来実用的であり機能的な道具です。にもかかわらず、カルティエはその実用品に対して、“使う”だけでなく“着飾り装う”という美の概念を創出しました。

 

―確かに、どの時計を見てもデザインにこだわりが感じられますね。

そうなんです。ただ、デザインはもちろんですが、CPCPや現行品の自社ムーブメントに象徴されるように、機械式のムーブメントに対する姿勢と拘りもすごいんです。
「外装だけでなく中身(メカ)も美しく、すべてを完璧に――」、そんなカルティエの理念が伝わってきます。
カルティエというブランドが好きなひとだけに留まらず、いつどの時代もさまざまな人の感性に訴えかけてくるような「美」こそが、カルティエの魅力ではないでしょうか。

 

 

―次に、カルティエのなかで特に珍しいモデル2点を教えてください。

Ishikawa
はい。一つ目がCPCPのひとつ「タンク ルイ カルティエ LM エクストラフラット(Ref.1600E)」です。
CPCP(コレクション プリヴェ カルティエ パリ)とはカルティエの最上級コレクションのことで、メゾンの歴史的名作を当時の技術と素材を用いて復刻し、1998~2008年に展開されました。
タンクルイのエクストラフラットモデルは1960年代から2010年代に製造されていましたが、そのなかでもこのCPCPモデルはひとつの完成形ではないでしょうか。
約30mm×24mmという端正なケースサイズの中には、高級薄型手巻きムーブメントであるフレデリック・ピゲ製のCal.21を搭載。その薄さの恩恵によりケース厚は約4mmと、通常のタンク ルイ カルティエと比較しても2mmほど薄い まさに“エクストラフラット”です。

文字盤にはCPCP独自の意匠であるCARTIER PARISの2段レター、中央のロゼットから放射状に広がりを見せる美しいギヨシェ彫りが施されており、タンク ルイ カルティエのクラシックなアールデコスタイルに控えめなモダンさを演出します。
機能性の高さやデザインの美しさはもちろん、全体のバランスを見ても、自信を持ってご提案できる“最高のタンク ルイ”です。

 

―ありがとうございます。では、二点目を教えてください。

Isikawa
はい。二つ目は、こちらの「トーチュ SM(Ref.W1540351)」。個人的に、トーチュはカルティエのなかで最も好きなモデルです。
1912年に発表され、カルティエの長い歴史のなかでもサントス、トノーに次いで3番目に古いのですが、完成されたデザインというのは時代を超越しますよね。そのフォルムからは古臭さを全く感じません。
タンクやサントスといったモデルの影に隠れがちですが、優美な曲線で構成されたケースは流麗で、どこか有機的にも見えます。

Ishikawa
“TORTUE”というモデル名の通り、「亀甲」がモチーフになっています。「亀甲」というと、日本やアジア圏などでは甲羅の柄(正六角形)が長寿や吉祥を象徴する文様として古くから親しまれていますが、トーチュは亀の甲羅そのものがデザインに用いられており、カルティエの創意が感じられます。
それぞれ年代ごとにさまざまなトーチュが存在しますが、このプリヴェのトーチュ SMは外装の完成度が突出しています。横幅が約28mmという秀逸なサイズ感のケース、そこに収まるダイアル面積の割合、絶妙な詰まり具合のインデックス、さらに裏がシースルーバックになっているので、動いているムーブメントを見ることができるというのも非常に嬉しいポイント。ケース素材がPt950というのも「プラチナの芸術家」であるカルティエらしくて素敵ですよね。

 

―では最後に、カルティエ以外でおすすめの時計を教えてください。

Ishikawa
はい、先ほどのレアピースとはまた違った視点になりますが、1973年製の「ロレックス オイスターパーペチュアル(Ref.6723)」。
5分間隔で鏡面加工された凸部分と細かい線状に彫られた凹部分が織り成す、特徴的なエンジンターンドベゼル。さらに、発色の綺麗なブルーグレーの文字盤も魅力的な個体です。
オイスターパーペチュアルは現行でも展開されていますが、デザインのディテールが異なり、このベゼルもこの文字盤もヴィンテージロレックスならではの仕様です。
端部分のみポリッシュ仕上げが施されたバーインデックスも凝っており、見る角度や動きによって文字盤から放たれる様々な表情も美しい。また、同年代のヴィンテージウォッチと比較して防水性が高いというところも嬉しいポイントですね。

搭載されるのはCal.2030という自動巻きムーブメント。1970年代のレディース・ボーイズロレックスを代表する、コンパクトながら精度と耐久性のバランスが取れた傑作ムーブメントです。
非常にシンプルなモデルではありますが、このシンプルさこそがオイスターパーペチュアルをおすすめする最大の理由。ステンレス製は傷みにくく、3針タイプは時間が確認しやすく実用的、日付表示のないノンデイトはカレンダー修正の手間が不要……など、50年以上前のヴィンテージウォッチでありながら、とにかく本当に扱いやすいのです。

 

―デザインの美しさはもちろんですが、使いやすさや実用性も時計選びではかなり重要ですよね。

Ishikawa
はい、そう思います。このようなヴィンテージウォッチは現代のライフスタイルにも自然に溶け込み、日常のさまざまな場面に素敵な彩りを添えてくれるはずです。
「ヴィンテージウォッチってなんだかデリケートそう…取り扱いが大変なのでは……」と身構えて使うのではなく、ぜひ楽しんで使っていただきたいですね。

 

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ご紹介商品:
1. Cartier タンクルイ カルティエLM:¥2,750,000(tax in)
2. Cartier トーチュSM : ¥2,750,000(tax in)
3. ROLEX オイスターパーペチュアル : ¥396,000(tax in)